アレルギー抑制作用が期待できるフコイダン

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海藻特有のぬめり成分フコイダンは、抗がん作用や抗菌・抗酸化作用のほか肌の保湿力を高めることにも優れた効果をもたらすとして健康・美容など様々な分野から熱い注目を集めています。近年では抗アレルギー作用や抗炎症作用に関する研究も進み、アレルギー症状を起こすIgE抗体の増加を抑えるほか、アトピー性皮膚炎の症状緩和に役立つことなどに大きな期待が寄せられるようになりました。

発見当初は分析困難だったフコイダン

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フコイダンは海藻特有のぬめり成分の一つで、コンブやワカメ・モズクといった褐藻類と呼ばれる褐色の海藻に多く含まれています。海藻が身体に良い作用を持つことは古代から知られてきましたが、科学的な解明が始まったのは近代に入ってからです。

フコイダンは西暦1913年にスウェーデンのウプサラ大学の教授H・Z・キリン博士によって初めて成分が確認されました。発見された当初のフコイダンはヒバマタ属を表すFucusという単語に因んでフコイジンと呼ばれていましたが、国際糖質命名規約によってフコイダンが正式名称となりました。

発見後しばらくはフコイダンの分子構造が複雑だったことから詳しい分析が困難で研究対象にはなりにくいとされてきましたが、技術力が向上するにつれ成分の抽出が可能となり、現在多くの分野で研究が進められています。

フコイダン研究が劇的に進化し始めた21世紀

1913年の発見から時代が下るにつれて詳細な分析や成分の研究が進められてきたフコイダンですが、21世紀に入って世界を驚嘆させた研究結果が発表されました。

2002年にフランスの科学者がウサギを使った研究で、フコイダンがウサギの細胞が過剰な細胞分裂によって組織肥大を起こすのを抑制する効果を持つことを明らかにしました。がんの原因こそが細胞の過形成によって起こる腫瘍であることから、フコイダンのがん予防への効能が明らかにされたことになります。

2005年にはフコイダンが悪性リンパ腫細胞に、細胞の自死とも言えるアポトーシスを起こさせることも発見されました。体内に生じたがん細胞は生命本来に備わる機能アポトーシスで除去されることがわかっていますが、それを悪性腫瘍にも起こさせるパワーを持つフコイダンは、できてしまったがん細胞を殺すことにも役立つ可能性が高まったことになります。

抗がん研究のほか、抗ウイルス作用や血圧・コレステロールの低下作用など、人類を悩ませる病気への対抗手段としてフコイダンを役立てる今後の研究成果に一層の期待が集まっています。

アレルギー症状の緩和にも役立つフコイダン

フコイダンが抗アレルギー作用も有していることが解明されるようになったのも、悪性リンパ腫細胞へのアポトーシス効果を持つことが明らかにされたのと同じ2005年とされ、日本でもメカブフコイダンが抗腫瘍作用抗やウイルス作用を持つと共に抗アレルギー作用を持つという論文が発表されました。

メカブフコイダンのほか、ガゴメ昆布フコイダンを使ったアレルギー抑制作用の研究も進められ、6週間のあいだマウスにガゴメ昆布フコイダンが混ぜられた飼料を与えるという方法で実験が行われました。実験開始から2週間めと4週間めにOVAこと卵白アルブミンを腹腔内注射して、抗原に対してアレルギー反応をもたらす感作をマウスに起こさせます。

6週間めに採血して血中の卵白アルブミンに反応してアレルギー反応を起こす特異的IgE抗体の濃度を測定した結果、ガゴメ昆布フコイダンを与えたほうのマウス群で卵白アルブミンへの特異的IgE抗体の濃度上昇が抑制されていることが判明し、アレルギーの引き金となる抗体を抑えることが明らかになりました。

それに加えてガゴメ昆布フコイダンは、マウスの免疫バランスをも改善してアレルギー症状を緩和する効果を持つことも判明しています。

アトピー性皮膚炎改善効果にも期待大

マウスへの実験によってメカブフコイダンやガゴメ昆布フコイダンがアレルギーの原因となるIgE抗体が体内で濃度を上昇させるのを抑える効果を持つことが解明され、アレルギー発症のメカニズムに大きくかかわっている免疫バランスの改善にも期待できることがわかってきました。

さらに、花粉症などのアレルギーとはまた違った仕組みで発症すると言われるアトピー性皮膚炎への改善にも役立つ効能を持つことも、オキナワモズク由来のフコイダンを使った実験結果から明らかになっています。実験はアトピー性皮膚炎を起こしているマウスにオキナワモズク・フコイダンを経口投与するという方法で行われ、投与していないグループのマウスと比べて改善効果が認められたことが発表されました。

オキナワモズク・フコイダンを長期にわたってマウスに与え続けることでアトピー性皮膚炎改善効果が一層高まってくることも判明し、アレルギー同様に根治治療が難しいとされるアトピー性皮膚炎の症状改善にもフコイダンを役立てる研究の今後にも、大きな期待が寄せられるようになりました。

フコイダン研究にとって重要な三大作用

アレルギー症状の直接原因とも言えるIgE抗体の増加を抑える効果を持つことが明らかにされてきたフコイダンですが、生死にかかわるがんなどの重大な病気をいかに予防して悪化をくい止めるかが、やはり最も重大なテーマと言えます。

現在がんに対抗する効果をはじめ3つの重要な作用が「フコイダンの三大作用」と呼ばれ、日夜研究が進められています。その3つが、がん細胞を死滅に追いやるアポトーシス誘導作用、がん細胞に対抗する正常細胞を増やすことにかかわる免疫力強化作用、がんが栄養を取り込むための自分専用の新しい血管を作るのを抑制する作用です。

それぞれ人類の大敵・がんと戦うための強力な武器としてフコイダンを役立てるための研究ですが、免疫力強化作用に関してはアレルギー対策にも大いに役立つことが期待されています。

免疫機能の改善がアレルギー緩和のカギに

アレルギー症状は、簡単に言えば体内の免疫が花粉などの異物に対して過剰に反応するためで、免疫力が高まり過ぎてはかえって症状が悪化するという考え方もあります。

大事なのは免疫力アップではなく免疫バランスを整えることで、フコイダンの三大作用の一つ免疫力強化作用は単に免疫力全体を強めるのではなく、病気に対抗するために必要な免疫細胞を活性化させるものです。

ウイルス感染細胞やがん細胞を死滅させるNK細胞ことナチュラルキラー細胞の活性化を、あらゆるタイプのフコイダンが活性化することが免疫に関する学会などで発表されました。マウスを使った実験でアレルギーを引き起こすIgE抗体の増加を抑えると共に、症状緩和に大いに役立つ免疫バランスの改善もみられたことから、フコイダンは症状緩和に役立つ免疫細胞を活性化する方向に免疫機能を整えて行く作用を持つことがわかります。

アレルギー改善のみならず病気になりにくい身体づくりにも役立つ、海からの恵みとも言えるフコイダンです。